研究課題/領域番号 |
16591679
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 佳克 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30254288)
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研究分担者 |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70159888)
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キーワード | 妊娠中毒症 / 血管内皮機能障害 / 動物モデル / ニトログリセリン / 葉酸 / アンギオテンシンII 1型受容体 |
研究概要 |
妊娠中毒症(PE)患者の内皮機能障害を効果的に改善するためには、内皮由来nitric oxide(NO)などの機能障害を正常化するアプローチが重要であると考えられる。ニトリグリセリン(NTG)10日間連続投与による動物モデルを作製し、アンギオテンシンII(Ang II)I型受容体(AT_1R)遮断薬(ARB)の併用投与群およびアスコルビン酸の併用投与による検討を行った。 NTG群の抵抗血管では内皮由来NOに対する反応性減少と、cGMPによる弛緩反応が減弱していた。また、アゴニストによる血管内皮細胞でのCa^<2+>濃度上昇に変化は認められなかったが、NO産生が著名に減弱していた。これらの結果より、NTG慢性投与はPE抵抗血管で認められる内皮機能障害と共通する異常を発生させることから、PEでの内皮機能障害の動物モデルになることが明らかとなった。NTG群の血管壁ではO_2^-産生の著名な増大が認められ、NO産生減少は活性酸素消去薬(Mn-TBAP)や活性葉酸(5-MTHF)+L-Arginine投与で正常化した。これらの変化は、ARBの慢性併用投与により完全に正常化し、アスコルビン酸の慢性併用投与で部分的に正常化した。 Mn-TBAPが内皮NO産生を改善することは、PE治療にO_2^-消去が有効である可能性を示唆する。しかし、アスコルビン酸投与による内皮機能障害効果が部分的であったことより、PEの治療としてO_2^-消去のみでは不十分で、活性葉酸やL-Arginine投与によるNO自身の産生増加が必要であることが明らかとなった。ARBが内皮機能障害を改善することは、PE患者で認められるAng IIに対する血管の反応性亢進と内皮機能障害と共通する変化であり興味ある結果である。
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