研究課題/領域番号 |
16591684
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 守 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20207145)
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研究分担者 |
松本 直 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00327595)
服部 純尚 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60327591)
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キーワード | マウス / 卵子 / マイクロインジェクション / モルフォリーノアンチセンス / リプログラミング / エピジェネティクス |
研究概要 |
今回我々は、標的遺伝子のmRNAに相補鎖を形成するモルフォリノアンチセンスオリゴ(モルフォリノ)を卵子内にマイクロインジェクションすることで、特異的な蛋白質の翻訳阻害効果を検討した。すでにゼブラフィッシュやカエルでは卵子や初期胚にモルフォリノをマイクロインジェクションすることによって遺伝子機能解析を行った報告が多数なされているが、哺乳類卵子においてモルフォリノのマイクロインジェクションを行った報告はほとんどない。我々はマウス卵子特異的に発現するリンカーヒストンH1fooの機能解析を行うことを目的にモルフォリノを利用してH1fooの発現阻害を行った。BDF1マウスよりPMSG刺激後48時間にてGV卵を回収し、H1fooに対するモルフォリノをマイクロインジェクションした。マイクロインジェクション後時間を追って免疫染色およびウエスタンブロッティングにてH1foo蛋白量の変化を観察したところ逆相補配列をもつコントロールのモフォリノをインジェクションした卵にくらべてH1fooが減少していることがわかり、40時間以上たつと免疫染色およびウエスタンブロッティングにてH1fooは検出されなくなった。そこでモルフォリによりH1fooをノックダウンした卵をin vitro maturationさせて第1極体の放出による成熟率を検討した。その結果、コントロールにくらべノックダウン卵では有為に成熟率が低い傾向が得られた。但し、成熟した卵を単為発生させた場合、前核形成率でみた発生率に関してコントロールとの間に差はみられなかった。今後レスキュー実験を含めモルフォリノによる発現阻害の特異性について更に検討する必要はあるが、H1fooが卵成熟、すなわち減数分裂の過程で機能していることが強く示唆された。
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