研究課題/領域番号 |
16591687
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
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研究分担者 |
松崎 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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キーワード | 子宮頚癌 / 癌抗原 / SEREX |
研究概要 |
本研究では、新しい各種分子生物学的・免疫学的手法を用いて、子宮頸部腺癌における免疫療法や分子標的療法の標的となる癌抗原を単離・同定し、診断・治療の基盤を作ることを目的とした。 1.子宮頸癌患者検体(腫瘍組織、血清、末梢血リンパ球など)の採取保存 これまでに子宮頸癌患者より、19例の手術時腫瘍組織、29例の血液を採取保存した。腫瘍に関してヒトパピローマウイルス(HPV)E7蛋白質の発現について解析しところ、扁平上皮癌7例中4例にHPV16関連型が検出され、腺癌8例中4例にHPV18型が、2例にHPV16型が検出された。血液に関しては、小細胞癌2例、明細胞腺癌1例と頻度の少ない症例についても保存できた。 2.免疫不全マウスへの腫瘍組織移植、ヒトIgG抗体を含むマウス血清の採取保存 現在13例の子宮頸癌組織をSCIDマウスに移植し、DNA発現クローニング用の血清を採取保存した。このうち腺癌の1症例はリンパ節転移腫瘍であった。 3.ヒト腫瘍移植免疫不全マウス血清と患者血清を用いたSEREX法によるcDNA発現クローニング 子宮頸癌細胞株であるSKG II /SKG III b, HelaからλファージcDNA発現ライブラリーを作製した。また4例の患者腫瘍組織からλファージcDNA発現ライブラリーを作製した。原発腫瘍移植群と転移腫瘍移植群の免疫不全マウス血清を用いて、それぞれ50万クローンのcDNA発現クローニングを行った。 4.単離クローンの遺伝子解析 転移腫瘍移植マウス血清、原発腫瘍移植マウス血清で、それぞれ390、432個の陽性クローンを単離し、現在解析・同定中である。同定抗原中には子宮頸部腺癌細胞の放射線耐性に関連するという報告のあるPI3Kの生成に関わるPIP5K2Aという遺伝子が含まれていた。 単離に用いるライブラリーと患者検体で子宮頚癌との関連が報告されているHPVの感染が確認されたが、現時点では子宮頚癌に特徴的なHPV抗原は得られていない。しかし、HPV感染による関連抗原が含まれている可能性があり、今後詳細な検討が必要である。
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