研究概要 |
本研究では、新しい各種分子生物学的・免疫学的手法を用いて、子宮頸部腺癌における免疫療法や分子標的療法の標的となる癌抗原を単離・同定し、診断・治療の基盤を作ることを目的とした。 子宮頸癌患者より、19例の手術時腫瘍組織、29例の血液を採取し保存した。癖組織に関してヒトパピローマウイルス(HPV)E7「蛋白質の発現について解析した。扁平上皮癌8例中4例にHPV16関連型(16,31,58)、1例に18関連型(39)が検出された。腺癌9例中4例にHPV18型が、2例にHPV16型が検出された。13例の子宮頸癌組織をSCIDマウスに移植しヒトIgG抗体を含むマウス血清の採取保存した。子宮頸癌細胞株であるSKGII/SKGIIIb, TCO-1,HelaからλファージcDNA発現ライブラリーを作製した。また4例の患者腫瘍組織からλファージcDNA発現ライブラリーを作製した。TCO-1ライブラリーとHPV18型陽性腺癌組織移植SCIDマウス血清を用いてスクリーニングを行い、NY-REN-58や、抗原提示細胞の分子シャペロンの機能を持ち、ペプチドワクチン療法への応用が研究されているTumor Rejection Antigen-1(gp96)などの腫瘍免疫に関連した遺伝子を同定した。 SKG-II/IIIbライブラリーとHPV18型陽性子宮頸部腺癌の原発腫瘍移植群と転移腫瘍移植群のSCIDマウス血清を用いて、それぞれ50万クローンのcDNA発現クローニングを行ったが陽性クローンは得られなかった。そこで精巣ライブラリー用いたところ、それぞれ400以上の陽性クローンを単離し、現在解析・同定中である。 今後、HPV16型および18型陽性ライブラリーを用いスクリーニングを行い、子宮頚癌特異的癌抗原や、HPV関連タンパクの同定を行い、子宮頸部腺癌の標的となる抗原を単離・同定し、診断・治療の基盤を作る。
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