(1)反復流産患者、IVF-ET反復不成功患者、妊娠中毒症患者、IUGRをもつ患者に対して、抗リン脂質抗体として、抗フォスファチジルセリン(PS)抗体、抗カルジオリピン(CL)抗体、抗フォスファチジルエタノールアミン(PE)抗体、さらに抗アネキシンA5抗体のスクリーニングを逐次遂行した。いずれも特にIgGアイソタイプが有意に多く認められ、カラムを用いてポリクローナルIgG抗体を精製した。特にIgGについては、疫学調査から病原性を考えてよいものと推察している。 (2)アネキシンA5はカルシウム依存性リン脂質結合蛋白であるため、その性質を利用して胎盤から精製を行った。また、大腸菌を用いリコンビナントアネキシンA5の作製を行った。 (3)陰性荷電リン脂質を含んだリポソームを多数のパターンで作成し、PS、抗PS抗体、CL、抗CL抗体、アネキシンA5、抗アネキシンA5抗体、PE、抗PE抗体(キニノーゲン依存性抗体)の相互関係を、ELISA(用量依存性試験、吸収試験)、BiaCore、Immunoblotにより解析した。 (4)マウス卵および精子を用い、精製した抗PS抗体、抗CL抗体、抗PE抗体、抗アネキシンA5抗体をコファクターと共に添加し、卵、精子および受精に及ぼす影響を検討した。 (5)レーザー散乱粒子計測法を用いた血小板凝集機能検査を用いて、抗PS抗体、抗CL抗体、抗PE抗体、抗アネキシンA5抗体の添加による微少凝集反応を検討した。 (6)抗ラミニン1抗体の流産への関与を検討した。 (7)抹消血NK細胞活性の不妊症、不育症への関与を検討した。
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