研究課題
基盤研究(C)
早発閉経関連遺伝子であるFMR1とMaterを対象にして、以下の成果をあげた。(1)FMR1を対象とした解析:FMR1が早発閉経の原因遺伝子であることを示唆する従来の報告等を根拠として、FMR1は卵巣で発現し、卵巣機能を直接的に制御する因子であるという仮説を立てた。この仮説を検証するための第一歩として、主にラットを用いて、卵巣におけるFMR1 mRNAとFMR1タンパク質が存在するのかどうかを調べた。その成果を以下に述べる。(1)-1.RT-PCR及びWestern blottingによって、FMR1 mRNA及びFMR1タンパクがラット卵巣に存在することを発見した。また、ヒト卵巣顆粒膜腫瘍細胞由来の細胞株でもFMR1 mRNAとFMR1タンパクが検出された。これらの結果は卵巣でFMR1遺伝子が発現していることを示す。(1)-2.数種の組織化学的解析によって、卵巣におけるFMR1遺伝子の発現部位を同定した。その結果、卵巣髄質に侵入したmast cell、成熟卵胞を構成する穎粒膜細胞及び黄体細胞でFMR1遺伝子の発現が検出された。(1)-3.性ステロイドホルモンagonist等の雌ラットへの投与、出生直後雌ラットの甲状腺除去等の処理によって、POF様卵巣機能不全等を呈する動物を作成した。これらの動物卵巣におけるFMR1遺伝子の発現部位と発現量を現在、調べている。(1)-4.上記の(1)-1から(1)-3の結果から、卵巣の特定部位においてFMR1遺伝子が発現し、これらの部位においてFMR1タンパクが何らかの生理的役割を果たしている可能性が高いことが示唆された。FMR1遺伝子が早発閉経の関連遺伝子であるという従来の報告を考えあわせると、卵巣におけるFMR1の発現異常が原因で卵巣機能の異常を誘起し、その結果、早発閉経が発症するのかもしれないと推論した。(2)Materを対象とした解析:Mater遺伝子欠損マウスの卵母細胞ミトコンドリアでは膜電位と活性酸素生成量が上昇していることを発見した。従って、Materタンパクは卵母細胞ミトコンドリアの膜電位を低下させ、その結果、活性酸素の生成を低下させると推論した。
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