研究概要 |
1.平成16年度、解剖学的さらに臨床的に検討して確立させてきた頭蓋底への様々なアプローチ法を皮膚粘膜切開と顔面骨切断の2段階の手術操作に分けた。病変の部位や大きさ、病理組織さらに患者側の要因など様々な条件下において両者の手術操作の最も適切な組み合わせ方を検討し明らかにした。 2.サルの検体を用いて、頭蓋底へのアプローチ法をヒトの場合と比較し系統発生学的な検討を加えた。その結果、ヒトでは適用可能な上方からのアプローチである冠状切開やFacial dismasking approachはサルでは不可能で、側方からのアプローチもサルでは不利であることが分かった。逆に下方からのアプローチはヒトに比べサルの方が容易であることが分かった。これらの理由について、ヒトにおける大脳化や咀嚼筋の萎縮と関係があり進化とともに現れてきた傾向と考えられた。 3.頭蓋底手術における手術支援機器としてナビゲーションシステムおよび内視鏡システムの役割、適応の拡大について検討し、より有効な使用法を明らかにした。 4.頭蓋底手術におけるより確実な再建術を臨床的および解剖学的に検討し、確立させた。 5.平成16,17年度の研究成果を集大成し「頭蓋底病変の外科-顔面深部へのアプローチ」と題して、第106回日本耳鼻咽喉科学会総会における宿題報告として発表し、同名のモノグラフを発行した。
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