研究概要 |
本年は主にマウスを使用した動物実験をおこなった。C3H系マウスにネンブタールにて麻酔して軟X線装置にて250kV、20mAで10,20、30Gyの背部皮膚の照射を行った。固定具を使用して頭部、胸部の大部分は鉛板でシールドして、腰臀部付近の皮膚の一部に照射して不必要な障害をきたさないように配慮した。 その結果皮膚への照射量が増加するに従って皮膚付属器(毛根)の変性と脱落や消失が著しく観察され、また表皮の細胞層が減少しその萎縮が観察された。時間経過とともに真皮と皮下組織の線維化が進行も観察された。これは臨床的にみられる人体での皮膚の変化に相似しておりモデルとしての妥当性がうかがわれた。ただし幼弱マウスでは成長に伴う皮膚の変化も影響し、コントロールとの比較が重要であった。この場場合結果の解釈がやや困難である場合があった。これに対する対策としてはある程度加齢してからのマウス(12週以降)を使用するのが良いと考えられた。また30Gy照射群では死亡する例が半数ほどみられ照射法に工夫をようするものと考えられた。すなわち深部の臓器(腎や腸管まど)に障害がでないように照射する工夫が必要と考えられた。 現在これに手術侵襲を加えた群(皮膚を切開して再縫合)ものと、シスプラチンを投与した群の比較を行っているところである。またシスプラチン投与併用放射線照射群で手術侵襲を加えてその治癒経過を解析中である。来年度以降に結果が集積して一定の結論が得られるものと考えている。
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