研究課題
今年度はDBA/2マウス側腹皮下にB7-1遺伝子を導入したKLN205細胞を移植し、B7-1(CD80)による腫瘍増殖抑制効果を検討した。1 B7-1遺伝子を導入したAdenovirus(AdB7-1)をKLN205細胞に感染させ、KLN205細胞におけるB7-1の発現をRT-PCRで検討した。その結果MOI=8の時のB7-1発現を1とすると、MOI=64では1.44、MOI=512では10.8となり、KLN205細胞数に対するAdB7-1の濃度が高くなるにしたがってB7-1の発現が強くなることが確認できた。2 AdB7-1感染KLN205細胞のviabilityの検討を行った。KLN205細胞5×10^4にAdB7-1を感染させ72時間培養すると、MOI=216ではKLN205細胞は199×10^4であったが、MOI=343では116.16×10^4であり(AdB7-1を感染させない場合は204.5×10^4)MOI=216の方が有意にviabilityが高かった。以上よりこれ以後の実験におけるMOIは216とした。3 DBA/2マウスの側腹皮下にAdB7-1感染KLN205細胞(AdB7-1群)を移植し腫瘍の長径×短径(mm)を計時的に測定した。KLN205細胞のみ(KLN205単独群)、およびβ-galactosidase産生LacZ遺伝子を含むAdenovirus vectorを感染させたKLN205細胞(AdLacZ群)を同様に移植し対照群とした。移植したKLN205細胞はいずれの群も50×10^4個とした。その結果、移植3週後にはKLN205単独群では258.8±89.1mm^2(平均±標準偏差)、AdLacZ群は183.5±87.6mm^2、AdB7-1群は58.1±47.2mm^2であった。4週後にはそれぞれ698.2±188.6mm^2、417.7±265.3mm^2、105±86.2mm^2、さらに5週後には1006±117.2mm^2、673.7±225.4mm^2、346.4±134.9mm^2であり、AdB7-1群では他の2群に比べ有意に腫瘍サイズが小さかった。すなわちB7-1遺伝子を導入したAdenovirus vectorを扁平上皮癌細胞株であるKLN205細胞に感染させると、KLN205細胞にB7-1(CD80)が発現することによりin vivoで扁平上皮癌の発育を有意に抑制することが示された。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (7件)
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 77
ページ: 741-746
Annals of Otology, Rhinology, & Laryngology 114
ページ: 629-633
Otology Japan 15
ページ: 161-165
日本鼻科学会誌 44
ページ: 136-140
アレルギー科 19
ページ: 212-217
Acta Otolaryngologica (in press)
Plastic and Reconstructive Surgery (in press)