研究課題/領域番号 |
16591707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石田 春彦 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70223005)
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研究分担者 |
丹生 健一 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20251283)
大月 直樹 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40343264)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | B7-1(CD80) / KLN205細胞 / DBA / 2マウス / 抗腫瘍効果 / ワクチン効果 / CD8 / MHC class1 |
研究概要 |
頭頸部癌治療では機能障害や整容上の問題を解決するための新たな治療法が望まれている。そこで腫瘍細胞にB7-1遺伝子を導入することによって腫瘍細胞自身がTリンパ球に抗原提示を行い、抗腫瘍活性を増強させる細胞性免疫療法を開発することを目的として研究を行った。 頭頸部癌はほとんどが扁平上皮癌であることから腫瘍細胞株は扁平上皮癌由来のKLN205細胞を、マウスはDBA/2マウスを用いた。 1 MOIの決定:AdB7-1をKLN205細胞に感染させ、その発現をRT-PCRで検討、また感染細胞を72時間培養してviabilityを測定した結果、MOI=216で実験を行うこととした。 2 移植腫瘍に対する抗腫瘍効果の検討:DBA/2マウス側腹皮下にAdB7-1感染KLN205細胞を移植し(AdB7群)、腫瘍の大きさを経時的に測定した。β-galactosidase産生LacZ遺伝子を含むAdenovirus vectorを感染させたKLN205細胞(AdCL群)、およびKLN205細胞のみ(KLN単独群)を同様に移植し対照とした。腫瘍移植2週目以後にAdB7群は他の2群に比較して有意に腫瘍の発育が抑制された。 3 ワクチン効果の検討:2と同様にしてAdB7群、AdCL群、およびKLN205単独群作成し、その2週後に対側側腹皮下にKLN205細胞(parental cell)を接種し経時的にparental cellを接種した腫瘍径を計測した。その結果AdB7群では他の2群に比し有意に腫瘍増殖が抑制された。 4 免疫染色による検討:AdB7群、AdCL群、KLN205単独群から腫瘍組織を摘出し、CD80、MHC calss1、CD8、CD4の免疫染色を行った。CD80はAdB7群ではほとんどの腫瘍細胞で陽性であったが、AdCL群やKLN205単独群では陽性細胞はごく少数であった。CD8陽性細胞はAdB7群では多数浸潤していたが、他の2群ではほとんど見られなかった。CD4陽性細胞は3群ともほとんど存在しなかった。MHC class1は3群とも多くの腫瘍細胞で陽性であった。 以上よりB7-1遺伝子を腫瘍細胞に導入することによって腫瘍細胞にMHC class1とともにCD80が発現し、腫瘍細胞自体が樹状細胞のような抗原提示細胞として機能することになり、細胞性免疫を賦活化して抗腫瘍効果およびワクチン効果が発揮されたものと考える。
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