研究概要 |
中耳炎をはじめとした上気道炎における気道上皮細胞の役割を検討するため、上気道粘膜上皮細胞に発現したToll like receptor(TLR)を中心に検討を行った。 1:上気道細胞培養株の樹立 中耳粘膜上皮細胞の培養が困難であったため、ヒト鼻粘膜上皮細胞を採取し、HPV16-E7をトランスフェクションし不死化を図り、2系統の細胞培養株(HNEC1,HNEC2)。 2:上気道細胞株におけるTLR遺伝子発現について HNEC1およびHNEC2を20代継代した後、trizolを用いてtotalRNAを採取し、TLR1-TLR10特異的遺伝子発現についてRT-PCR法にて解析した。TLR2,TLR3およびTLR6特異的遺伝子発現をHNEC1,HNEC2いずれにおいても確認した。TLR4についてはHNEC2にのみ確認された。 まとめ ヒト鼻粘膜上皮細胞においては、TLR2,TLR3およびTLR6遺伝子発現が確認された。TLR4については、細胞株を増やし、追加検討を要する。上気道においてはTLR2のアゴニストとなるグラム陽性菌が多数存在しており、中耳炎や鼻副鼻腔炎における病態形成に関与している可能性が示唆される。来期においては、TLR2を介する刺激による炎症性ケモカインであるIL-8遺伝子転写活性に及ぼす影響を中心に検討を行う。
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