研究概要 |
イメージング法を用いて内リンパ嚢上皮細胞のイオン動態を検討し、ミトコンドリアを豊富に含んだ細胞が活発なナトリウム輸送をしていること、このタイプの細胞が内リンパの吸収に大きな役割をしていることを明らかにし、国際専門学術誌に発表した。さらにイオン輸送システムを詳しく調べるためにシート状に単離したモルモット内リンパ嚢中間部組織でpatch clamp法のsingle-channel recordingを用いてapical側のイオンチャンネルを調べた。カリウム電流と考えられる電流を比較的多く記録できたが、単離上皮細胞のwhole-cell recordingで観察された内向きナトリウム電流はほとんど観察されなかった。カリウムチャンネル阻害剤でカリウム電流を抑制した状態で観察されるかどうかの検討を行っている。 また、今までの電気生理学的研究から内リンパ嚢上皮細胞での存在が示唆されているNa-K-2Clcotransporter(NKCC)とP_<2Y> receptorのサブタイプを分子生物学的にラット内リンパ嚢組織において調べた。NKCCではNKCC1とNKCC2の存在がRT-PCRにて確認された。腎臓に特異的とされているNKCC2が同定されたことは内リンパ嚢が吸収能を持っていることを示唆する結果であると考えられる。P_<2Y> receptorのサブタイプはRT-PCRにてP_2Y_1,P_2Y_2,P_2Y_4,P_2Y_6の存在が確認された。電気生理学的に示唆されたP_<2Y> receptorの存在が確認され、4種類のサブタイプが存在していることがわかった。
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