研究課題/領域番号 |
16591713
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
兵頭 政光 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00181123)
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研究分担者 |
脇坂 浩之 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30304611)
本吉 和美 愛媛大学, 医学部, 講師 (70322279)
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キーワード | 嚥下障害 / 加齢 / 問診票 / 嚥下内視鏡検査 / 嚥下造影検査 / 嚥下圧検査 / 誤嚥 / 嚥下反射の遅れ |
研究概要 |
方法 60歳以上で脳血管障害や神経筋疾患などの疾患の既往がない健常ボランティア47名(60〜87歳、平均68.9歳、男性10名、女性37名)を対象として、自己記入式問診票による摂食・嚥下状況の調査、嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査、および嚥下圧検査を施行し、嚥下機能の客観的評価を行った 結果 問診票による調査では「飲み込もうとする前にむせる」が11例(23%)、「飲んだり食べたりするときにむせることがある」が14例(30%)、「以前と比べて食べたり飲んだりしにくくなった」が6例(13%)など、潜在的な嚥下障害を有する症例が少なくなかった。また、その割合は60〜69歳群に比べて70歳以上群の方がいずれも高かった。嚥下内視鏡検査では非嚥下時の喉頭蓋谷・梨状陥凹の唾液貯留、声門閉鎖反射・嚥下反射の減弱、咽頭クリアランス低下を0〜3の4段階評価すると、スコア2以上と中等度以上の障害を認めた例がそれぞれ19%、13%、25%あった。嚥下造影検査では舌骨移動距離や喉頭移動距離は年齢による変化を認めなかったが、造影剤の咽頭通過時間および喉頭挙上遅延時間(造影剤が下咽頭に達してから喉頭が最大挙上位に達するまでの時間)は年齢と正の相関を示した。嚥下圧検査では嚥下圧値には年齢による変化を認めなかったが、咽頭期に食道入口部の陽圧が消失しない例が3例(6%)、食道入口部の安静時陽圧帯が若年者よりも広い(4〜5cm)例が7例(15%)あった。 考察 問診票による調査では、健常高齢者においても潜在的な嚥下障害を有する例が少なくないことが明らかになった。嚥下内視鏡検査からも高齢者では嚥下機能の低下を認める例が少なくなかったが、個人差が大きいことも示唆された。嚥下造影検査からは、咽頭収縮筋の機能低下による食塊駆動力低下や咽頭期の喉頭挙上の遅れがおこると考えられた。嚥下圧検査からは、甲状咽頭筋や食道筋の一部が機能的に輪状咽頭筋化し、食道入口部括約筋の機能が障害されることが示唆された。
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