研究概要 |
NO-superoxide systemは生体内で発生するNOとsuperoxideが反応して生ずるperoxynitriteによって細胞障害/傷害を惹起する。この際nitrotyrosine (NT)が生じる。 鼻疾患の手術時に得られた粘膜からヒト鼻粘膜上皮細胞の培養を行い,cytomix(10ng/mL IL-β,10ng/mL TNF-α,10ng/mL IFN-γの混合物)およびcontrolとしてPBSを暴露後のNO-superoxide system関連酵素のmRNAの発現をreal time PCRにて検討した。その結果、cytomix暴露によって培養ヒト鼻粘膜上皮細胞にiNoS mNRA, XO mRNAおよびcyclooxigenase 2(COX-2) mRNA発現がPBSと比較して著しく増強された。 さらにiNOS, XO, nitrotyrosine, superoxide dismutaseの鼻粘膜における局在を免疫染色により検討した。その結果、下鼻甲介粘膜ではiNOSに対するimmunoreactivityは鼻腺細胞、炎症細胞に強く、粘膜上皮細胞、血管内皮細胞に弱く認められた。一方、副鼻腔粘膜由来の鼻ポリープでは上皮細胞、炎症細胞に認められた。nitrotyrosineの局在について検討したところ、粘膜上皮細胞、血管内皮細胞、炎症細胞に認められ、鼻腺細胞に強く認められた。下鼻甲介粘膜の間質に一部の細胞が膨化、nitrotyrosine陽性であった。以上からアレルギー性鼻炎や鼻ポリープの鼻粘膜ではNO-superoxidesystemが存在し、粘膜障害/傷害が生じていることが明らかとなった。
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