慢性副鼻腔炎やアスピリン喘息などに合併する鼻茸の発生においては、遷延化する慢性炎症が重要な一因を担っていると考えられているが、詳細なメカニズムは未だ十分解明されていない。鼻茸組織では好酸球、肥満細胞、T細胞などの炎症細胞の浸潤が増加していることが報告されており、これらの細胞の果たす役割についての研究も進められている。 我々は、本研究においてT細胞の中でもγδT細胞が優位に増加していることを明らかにした。更にこれらのγδT細胞がIL-4、IL-13、IFN-γを発現していることも既に明らかにした。 慢性副鼻腔炎やアスピリン喘息に合併する鼻茸の発生機序において、これらγδT細胞が果たしている役割を解明するため実験を進め、現在までに以下のような結果が得られている。 ・同意が得られた患者より手術時に採取した鼻茸組織からγδT細胞を分離し、これらをfeeder cellと共に培養しγδT細胞クローンを樹立した。 ・γδT細胞がTLR-2とTLR-4を発現している事を明らかにした(免疫組織染色、フローサイトメトリにて)。 ・γδT細胞がCD80、CD86、CD28、CD40L、HML-1などの接着分子を発現していることを明らかとした(免疫組織染色、フローサイトメトリにて)。 ・γδT細胞を抗原刺激により活性化することにより、RANTES、IL-4、IL-13などのケモカイン・サイトカインの産生が増大することを明らかとした(ELISA法にて)。 更に、鼻茸由来のγδT細胞クローンをLPSやStaph.enterotoxinを用いて活性化することで、γδT細胞におけるTLRや接着分子の発現、ケモカイン・サイトカインの産生能に変化が認められるか比較検討している。
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