研究概要 |
性ステロイドの一般的な作用メカニズムは、核内特異受容体蛋白への結合とともに遺伝子調節、その後に組織特異生理活性へ繋がるとされる。 しかし、生殖系以外の組織において、その作用メカニズムが異なるとの報告もされる。また声の性分化に際しアンドロゲンが喉頭を標的とするものの、未だに喉頭上皮における特異受容体蛋白の存在に疑問がある。そこで、喉頭上皮における男性ホルモン受容体蛋白および関連因子を含め検討をした。 方法:アンドロゲン感受性喉頭癌培養細胞(HEp-2)は、10^<-6>Mのアンドロゲンで細胞死が完全誘導されることを特徴とする。この細胞を主に用いて、以下を検討した。アンドロゲン処置後のアンドロゲン,AR, ER等の存在およびその局在を免疫染色、細胞死の際にAR遺伝子転写の必要性の有無をアンチセンスオリゴのトランスフクション、ARおよびER蛋白の存在をレセプターアッセイ、5α-Reductase, Aromatse代謝系および共役転写調整因子等の転写有無につきRT-PCRを用いてそれぞれ確認を試みた 結果:アンドロゲンの喉頭上皮細胞における関与は、 1.喉頭上皮はアンドロゲンの生理作用下にある。2.特異受容体蛋白はその存在を必要としない。3.ARの遺伝子転写は必須である。との結論となった。 以上、特異受容体蛋白を介さない男性ホルモンの作用機構の存在を示した。
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