研究概要 |
最初にin vitroパルス樹状細胞に自己免疫疾患惹起能があるかを検討するため、マウス骨髄性樹状細胞を磁気分離システムで採取し、GM-CSF存在下で培養、Tyrosinase related protein 1(TRP1)peptides mixtureにてパルス、CD40,LPSの添加培養によって成熟樹状細胞へと分化させた。この細胞を直接あるいはこの細胞で同種T細胞をプライムし、同種C57BL/6マウスに注入した。それによりマウスに自己免疫性疾患を惹起させることができた。惹起された疾患は臨床的には皮膚の脱毛、白毛がみられたが、眼内に明らかな炎症所見は観察されなかった。 組織学的には皮膚毛根、線組織周囲に大量の炎症性細胞の浸潤がみられ、上皮下、上皮中に細胞浸潤のみられる部位では皮膚潰瘍形成もみられた。脱毛、白毛部では色素を貧食したと考えられる大型の細胞が集積し、肉芽腫を形成していた。 眼内では虹彩、脈絡膜に肉芽腫様の病変が散見された。これらの所見はVKHのそれに類似するものであった。 次にGM-CSF, IL-10,TGF-β1を添加し、immatureな状態を保ったまま抗原をパルスした。これらの抗原特異的未熟樹状細胞の注入あるいは未熟樹状細胞によってプライミングされたT細胞を naive miceに注射することにより、抗原パルス成熟樹状細胞やこれによってパルスされたT細胞の注入によって惹起される実験的VKH disease類似疾患発症が抑制されると期待されたが、いずれの注入によっても疾患の発症は抑制されなかった。現在抑制されなかった機序について検索を行っているが、結論は得られていない。
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