単離された毛様体色素・無色素上皮細胞対から、パッチクランプによる全細胞電流記録を行い、優位に発現しているKチャンネル電流について、これまでに、以下の結果を得た。 (1)不活性化(inactivation)過程を有しないKチャンネルで、そのコンダクタンスは、-100mV付近で開口し、-20mV付近で飽和する。 (2)KCNQファミリーKチャンネルの選択的な阻害剤であるリノピルジンにより阻害される (3)ムスカリン作動薬であるoxotremorine-Mで阻害されるが、カルバコールには無反応である。 (4)KCNQファミリーの刺激剤であるretigabinは入手が事実上不可能であったが、別の刺激剤のひとつNEM(N-methylmaleimide)はこのKチャンネルを刺激した。 (5)房水産生・輸送を制御することが知られているCAMPは、このKチャンネルを刺激した。 これらは平成17年7月の眼薬理学会において報告する予定である。 KCNQファミリーは、これまでに1〜5までのサブファミリーが判明している。上記実験の結果からは、その候補を絞ることは不可能であるので、それら全てのプライマーを揃え、RT-PCRにより毛様体上皮におけるmRNA発現を調べることを、17年度から開始する。17年度以降の、もう1つの課題は、このKチャンネルの局在を明らかにすることである。これが、毛様体色素上皮か無色素上皮のいずれかに発現しているかにつき、電気生理学的手法や免疫組織化学的手法などで調べる予定である。
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