研究概要 |
パッチクランプ方を用いて、単離された毛様体色素・無色素上皮細胞対において全細胞電流記録を行い、優位に発現しているKチャンネル電流について、これまでに、以下の結果を得た。 (1)不活性化(inactivation)過程を有しないKチャンネルで、そのコンダクタンスは、-100mV付近で開口し、-20mV付近で飽和する。 (2)KCNQファミリーKチャンネルの選択的な阻害剤であるリノピルジンにより阻害される。 (3)ムスカリン作動薬であるoxotremorine-Mで阻害されるが、カルバコールには無反応である。 (4)KCNQファミリーの刺激剤であるretigabinは入手が事実上不可能であったが、別の刺激剤のひとつNEM (N-methylmaleimide)はこのKチャンネルを刺激した。 (5)房水産生・輸送を制御することが知られているcAMPは、このKチャンネルを刺激した。 (6)古典的なKチャンネル阻害剤TEAには感受性がなかった。 (7)これまでに1〜5までのサブファミリーが判明しているKCNQについて、RT-PCRにより毛様体上皮におけるmRNA発現を調べた結果、KCNQ1,4,5の発現がみられた。 (8)KCNQ5の抗体を用いたウェスタンプロットでは、ブタ毛様体上皮に発現バンドがみられたが、ラット脳のコントロールとは、大きさが異なっていた。 以上の結果は、平成18年5月の国際学会Annual meeting of the Association for Research in Vision and Ophthalmology (フロリダ)、ならびに平成18年7月の眼薬理学会(福井)において報告した。
|