研究概要 |
A)マイクロアレイ法による炎症関連遺伝子の発現検討 1)前年度のマイクロアレイの結果より一部の遺伝子の虹彩・毛様体組織内での発現をリアルタイムRT-PCR(ABI PRISM 7000およびTaqMan Probe;ともにApplied Bio system)により、経時的に定量した。immediate early genes(c-fos,c-Jun,Jun B,Fra-1)はリポポリサッカリド(LPS)投与2時間後に著増していた。炎症関連因子のinterleukin(IL)-1beta,IL-6は2時間後に、RANTES,iNOSは6時間後に著増し、24時間後にむかって正常眼の発現レベルに戻るパターンはマイクロアレイ法の発現パターンと同様であった。 2)虹彩・毛様体における前述の遺伝子による蛋白レベルを確認するため、LPS投与24時間後に前房水を採取、ELISA法にて、IL-beta,IL-6の濃度を測定した。いずれも数十〜数百pg/mlの高濃度であった。またiNOSの最終産物であるnitrateもGriess法にて定量を試み、数十micro Mの濃度を検出でき、前房水中に蛋白レベルでの増加が確認できた。 3)c-fos,c-Jun,Jun B,Fra-1は細胞内蛋白なので、灌流固定後の虹彩・毛様体をそれに対する抗体で染色し、経時的変化を免疫組織化学的に検討した。数種の抗体を用いて、染色を行ったが、非特異的染色が多く、Jun BにおいてLPS投与24時間後に明らかな毛様体色素上皮層での染色を認めた。 4)リアルタイムRT-PCR、前房内蛋白の定量、虹彩・毛様体の免疫染色の結果より、マイクロアレイ法の信頼度は高いと再確認したため、経時的発現変化のパターンを5つに分類した。結果として、LPS投与(1)2時問後をピークに増加、以降減少(2)2-6時間後に著増、以降減少(3)6時間後をピークに増加、24時間後にはbase line(4)6時間後をピークに増加、ゆるやかに減少(5)24時間後に向かい、徐々に増加という5群に分けられた。 (B)注目した新しい炎症抑制因子に関しての研究 マイクロアレイ法の結果をもとに次年度への継続研究となった。
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