研究課題/領域番号 |
16591752
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
不二門 尚 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50243233)
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研究分担者 |
前田 直之 大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座教授 (00273623)
大鳥 安正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40303953)
細畠 淳 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20324759)
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314309)
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キーワード | 電気刺激 / 神経保護 / IGF-1 / 虚血性視神経症 / 視神経管骨折 / 網膜色素変性症 / 網膜電図 / 緑内障 |
研究概要 |
当該研究により、網膜電気刺激による神経保護の基本的mechanismが解明され、Invest Ophthal Vis Sciに受理された。また、経角膜電気刺激の臨床応用が開始され、一部の症例で有効性が確認された。以下各論 1.経角膜電気刺激による網膜神経節細胞の神経保護の分子機構:経角膜電気刺激により、軸索切断された網膜神経節細胞の生存率が向上した。免疫組織化学による検討で、ミュラー細胞の内境界膜側に限局しているIGF-1が、電気刺激により徐々に網膜内層に拡散していく像が示された。以上の結果から、電気刺激によりIGF-1のミュラー細胞からの産生が増強し、網膜神経節細胞の細胞死が抑制されることが示唆された。 2.視神経症の症例に対する経角膜電気刺激の臨床研究:非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)、視神経管骨折(TON)の症例に対して、コンタクトレンズ型電極を用いて経角膜電気刺激を行った。視力は、刺激3ヶ月後にNAION2眼(67%)、TON4眼(80%)で改善が見られた。軽度の表層性角膜症以外に合併症は見られなかったことから、経角膜電気刺激は安全で、症例によっては視力回復に有効であることが示された。 3.網膜色素変性の動物モデルに対する経角膜電気刺激:網膜色素変性のモデル動物であるRCSラットに対して、経角膜電気刺激を行い、視細胞の変性に対する影響を調べた。生後3週より週1回ずつ経角膜電気刺激を行った群では、対照群と比較して、網膜の内顆粒層の厚みは、7週目で有意に減少が軽度であった。また網膜電図においても、7週目でSTR(暗所閾値反応)が、刺激群において有意に保たれていることが示された。これらの結果から、経角膜電気刺激は、神経節細胞のみでなく、視細胞の障害に対しても、細胞死を抑制する効果があることが示された。
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