研究概要 |
本研究の目的は糖尿病網膜症の新生血管増生に関する血管基底膜の役割を明らかにし、血管基底膜成分ラミニンの制御による異常新生血管の抑制を検討することである。具体的には、血管基底膜と血管透過性の維持性に注目し、基底膜の構成成分であるラミニンの糖尿病網膜症進展への影響を検討する。 1 糖尿病ラットの作成 雄性SDラット及びC57BL/6JマウスにStreptozotocin(STZ)を経腹腔的に投与し、糖尿病発症動物モデルを作成した。経時的に血糖を測定したところ、すべての個体において随時血糖500mg/dl以上であり糖尿病動物モデルの作成に成功した。引き続き眼底での血管病変を検討した。次に、FITC-デキストランを血管内に注入し、血管の走行を明らかにした。明らかな出血や、新生異常血管は見られず、ヒトでみられるような糖尿病網膜症の状態は確認されなかった。 2 血管基底膜構成成分の各遺伝子発現及びその局在 血管基底膜構成成分(ラミニンα4,5鎖及びIV型コラーゲンα1,3,5鎖)に対するプローブ・プライマーを作成した。遺伝子発現はPCRレベルで確認された。 3 ラミニン蛋白発現及びその局在 血管基底膜構成成分(ラミニンα4,5鎖及びIV型コラーゲンα1,3,5鎖)に対する抗体を入手した。正常網膜を用いて免疫染色における条件設定を行った。IV型コラーゲンα1,5鎖の存在が確認された。ラミニンα4の染色性は現在所有している抗体では確認されなかった。
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