研究概要 |
49羽の有色家兎の眼底で、視神経乳頭から1乳頭径離れた部位に、豆まき状に各眼合計35箇所から40箇所に、近赤外光(810nm)と赤色光(610nm)の2種類のレーザーで光凝固を施行した。そして光凝固1、2,4、12、24週後に、光凝固部位、光凝固部同士の間の部位(光凝固間部位)、光凝固部位が離れた部位(非光凝固部位)の3カ所でレーザースペックル眼底血流計を用いて眼底血流を計測した。いずれのレーザーを用いても、観察期間中を通して、光凝固部位では光凝固間部位よりも有意に血流は低下していた。また凝固間部位では、非凝固間部位に比して血流は有意に低下していた。さらに近赤外レーザーでは、光凝固部位での血流に対する凝固間部位での血流の比は、2,4、12、24週後で1週後のものより低下していた。同様に、凝固部位での血流に対する非凝固部位での血流の比も12,24週後で低下していた。赤色光レーザーに関しては、光凝固部位での血流に対する凝固間部位での血流の比は観察期間中有意な変化をみなかった。しかし、凝固部位での血流に対する非凝固部位での血流の比は、12週後で低下していた。以上より、眼底に対するレーザー光凝固は、照射による血管の破壊によって血管の解剖学的構築を減少させるのみでなく、凝固間部位およびその周囲の非凝固部位での血管においても血流を減少せしめることが明らかとなった。なお、この傾向は赤色光レーザーよりもより脈絡膜深部に到達しうる近赤外光レーザーで顕著になるようであった。
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