研究課題/領域番号 |
16591780
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
渡部 眞三 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (10093486)
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研究分担者 |
中村 誠 名古屋大学, 大学院・医学系研究科眼科学専攻, 助教授 (60283438)
時田 義人 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 研究員 (50291175)
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キーワード | 視神経再生 / 網膜培養 / 神経突起伸展 / Rho / ROCK阻害剤 / Microcrush / Y39983 / Fasudil / Y27632 |
研究概要 |
1.網膜3D培養法の確立 前年度に引き続き成熟ほ乳類の網膜小片のcollagen gel内培養(3D培養法)の確立を行った。今年度は8日令の子ザル網膜の培養も試し、Y39983添加培養では、24時間での突起の伸展を認めた。これは幼弱な個体の網膜のためか、サルの網膜のためかを調べる必要がある。霊長類研究所からサル網膜の供給を受けたため、今年度はこれ以上進展できなかった。今後他の供給先を検討し、さらに子ザルおよび成サル網膜で行う予定である。 2.Rho/ROCK阻害剤による培養網膜における軸索再生 成ネコ網膜の小片を3D培養し、培養液にRho/ROCK阻害剤のY27632、あるいはY39983(千寿製薬提供)を添加して、突起伸展を調べた。神経突起を免疫組織学的に識別し、神経突起の数を数えた。その結果、Y27632では10-300μMで神経突起数が最も多く、1mMでは突起伸展が完全に阻害されていた。Y39983では3-10μMで神経突起数が最も多く、30μMで突起伸展が完全に阻害されていた。最適濃度での神経突起の数は、Y39983で多く、Y39983を3.の実験に使用することとした。これらの傾向は、網膜中心部および周辺部で同じであった。 3.Rho/ROCK阻害剤による挫滅視神経内での軸索再生 Y39983の挫滅した視神経内での軸索再生促進作用を、2.で得られたY39983の最適濃度と、眼球(2.7ml)内での希釈と流出を考慮し、10μMと100μMの濃度で検討した。麻酔下でネコの左視神経を、6-0縫合糸による0.2Nの張力で、60秒間結紮して、挫滅した。Y-39983は眼球内と挫滅部に注入した。12日後に眼球内に注入したWGA-HRPによって、視神経線維を順行性に標識した。14日目に潅流固定し、視神経の凍結切片をTMB法で順行性に標識された神経線維を可視化した。生理食塩水を注入した視神経(対照)では、挫滅部を超えて中枢側へ0.5mm以上伸びる線維は、高々50本程度であった。一方、Y-39983を10μM注入した視神経では、約2,000本の線維が0.5mm以上伸展し、7日後にさらに10μM注入した視神経では再生線維数が2倍以上に増加していた。最長再生線維の長さは、10μM注入した眼球の視神経内で最も長かった。
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