研究概要 |
1.ブタの交配計画と検体の蓄積-鎖肛ブタ家系の維持 成獣として5頭維持している。新たに他家系の散発性の新生仔鎖肛雄豚を2頭入手し、生直後に根治手術を施行、肛門ブジーをしつつ飼育している。 2.遺伝子解析 我々の樹立した筑波鎖肛ブタから選んだ3頭の鎖肛雌ブタ、遺伝子解析用に交配のため導入した1頭のメイシャンブタ、11頭のF1、戻し交配に使った9頭の鎖肛ブタ、戻し交配で発症した42頭の鎖肛ブタと各鎖肛ブタの兄弟に当たる42頭の正常ブタを対象とした。脾臓からDNAを抽出し165個の多型の証明されているマイクロサテライトマーカーを用いて詳細に遺伝子の多型パターンを調べた。TWOPOINT analysisではmarker SW919(Chr15)でlod score Z=3.2,比較遺伝子マップによる検討ではGli2(ヒトではChr2q14)はSomatic Cell Hybrid Panelによる検討でブタの遺伝子はChr15q1.2-q1.4上にあることを確認した。またmarker SW539(Chr9)ではLod score Z=2.45となり2つ目の遺伝子の関与が示唆された。 3.現在・今後の計画 現在ノンパラメトリックな手法を用いた検討やChr9上の候補遺伝子の検索中である。また海外共同研究者Leif Andersson教授と互いのデータを確認しGli2遺伝子のイントロンの部分に異常があることを推測して、発症しなかったすべてのF2の検体(約500)を用いて同部の塩基配列の異常を検索する計画を立てた。遺伝子抽出を円滑にするために自動核酸抽出装置(QuickGene-800)を購入した。ヒトの多因子遺伝疾患を解析するために筑波鎖肛ブタ家系は非常に有効な動物モデルであることを再確認し研究を続けている。
|