研究課題/領域番号 |
16591785
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
草深 竹志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70263267)
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研究分担者 |
米田 光宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30372618)
福澤 正洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60165272)
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キーワード | 小児肝癌 / HepG2 / Huh-6 / β-カテニン / RNA干渉 |
研究概要 |
小児肝悪性腫瘍である肝芽腫や肝癌においては、細胞内でβ-カテニン蛋白の過剰発現と核への異常集積が生じ、腫瘍形成に関連すると考えられている。平成16年度にはβ-カテニン遺伝子の欠失変異を持つ小児肝癌細胞株HepG2において、RNA干渉を用いたβ-カテニンの発現抑制を行うことにより、細胞増殖能が抑制されることを示した。17年度ではさらに検討対象を肝芽腫細胞のHuh-6(β-カテニン遺伝子点突然変異を有する)に広げて、異なる小児肝腫瘍においても同様の効果が見られるか否かを、β-カテニン遺伝子変異を有さない肝芽腫細胞Huh-7との比較の上で検討した。 Huh-6は、コドン34にmisssense変異を有し、変異β-カテニンは核に異常集積していることが確認されている。siRNA処理によりβ-カテニンの発現はRNA、蛋白両者のレベルで著明な抑制が得られ、これに伴って下流の標的遺伝子であるCyclin D1、c-mycの発現も、両者とも低下することが観察された。細胞増殖能についても、HepG2の場合と同様に、処理一日後より有意に生存細胞数の低下を認め、4日目までこの細胞数から判定した細胞増殖能に関する抑制は持続した。 一方、β-カテニン変異のないHuh-7においては、siRNA処理によるβ-カテニンの発現抑制は、Cyclin D1、c-mycの発現低下や、細胞増殖能の抑制にはつながらなかった。 これらの結果より、β-カテニンの発現を抑制することは、β-カテニン遺伝子異常を有する小児肝悪性腫瘍において、腫瘍増殖抑制の効果をもたらし、遺伝子治療の特的な標的となりうる可能性が考えられた。
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