神経芽細胞腫のカスパーゼ8のメチル化に注目し本腫瘍の退縮・分化の機序を解明し予後良好な腫瘍(favorable type)と予後不良の腫瘍(unfavorable type)との鑑別診断に資することを主目的とした。実験には当科に保存されている神経芽細胞腫の凍結標本を用いた。購入したQiagen BioRobot EZ1 type HS DNA抽出装置を用いてDNA抽出し、bisulfate処理を行った。bisulfate処理GenomeをPCRにかけ増幅し試作したメチル化特異的DNAアレイにハイブリダイズさせ、メチル化の有無を判定した。標本は腫瘍組織および対照として末梢血リンパ球各43検体を用い、アレイの判定結果をstage別に検討を行った。試作したアレイはカスパーゼ8の今回標的とした6箇所について個別にメチル化を判別可能なように作成した。試作したアレイの判定結果の検証としてbisulfate処理Genomeのシークエンスを調べることで、簡易アレイの結果との相同性を検証した。 アレイ判定結果は現在までstage1は13例中腫瘍のメチル化17箇所、末梢血リンパ球のメチル化0箇所、stage2は4例中腫瘍メチル化7箇所、末梢血リンパ球2箇所、stage3は9例中腫瘍メチル化17箇所、末梢血リンパ球0箇所、stage4は腫瘍11例中メチル化31箇所、末梢血リンパ球0箇所、stage4sは6例中腫瘍メチル化6箇所、末梢血リンパ球1箇所であった。stage4群において高頻度のメチル化が見られた。 H17年度は引き続きアレイによるメチル化判定を行うとともに、bisulfate処理Genomeのクローニングを行い、メチル化部位の解析、シークエンスを行う。
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