研究課題/領域番号 |
16591791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 了 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40301907)
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研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
小山 明彦 北海道大学病院, 助手 (70374486)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | ケロイド / siRNA / TGF-β1 / マクロファージ遊走阻止因子(MIF) / 遺伝子治療 / PGE_2 / cAMP |
研究概要 |
ケロイドの線維芽細胞過剰増殖と細胞外基質過剰産生成因に深く関わるサイトカインとしてかねてより報告されてきたTGF-β1に対して、実際にケロイド線維芽細胞にTGF-β1に対するsiRNAをlipofectin法によって遺伝子導入すると、ケロイド線維芽細胞の増殖や細胞内のI型コラーゲンのmRNAの転写が抑制されることを確認した。 また、ケロイドの主要病態に深く関わっていることを、われわれがはじめて明らかにしたマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の発現とその局在を調べるために、ケロイドと正常皮膚を抗MIF抗体を用いた免疫組織染色にて検討したところ、ケロイド線維芽細胞にMIFが強く発現していることを確認した。これによりTGF-β1とMIFをターゲットとしたsiRNAを用いたケロイド治療の有用性が示唆された。 われわれは、ケロイド線維芽細胞におけるPGE_2の産生能の低下が、ケロイドにおける細胞外基質のコラーゲン過剰産生の原因のひとつであると考え、正常線維芽細胞とケロイド線維芽細胞におけるPGE_2の産生能およびPGE_2に対する感受性の程度を比較検討した。 結果、ケロイド線維芽細胞において炎症性サイトカイン刺激に対するコラーゲン抑制因子であるPGE_2の産生が低下していた。また、PGE_2のコラーゲン抑制効果は、正常皮膚線維芽細胞に比較してケロイド線維芽細胞で減弱していた。しかし、PGE_2のsecond messengerであるcAMPレベルを上昇させると両線維芽細胞においても同じようにコラーゲン抑制効果を示した。以上の結果より、ケロイド線維芽細胞におけるPGE_2の産生とPGE_2に対する感受性の低下がケロイドの成因に関与していること、また、今後はcAMPのコラーゲン産生に対する抑制作用を用いることで新しいケロイドの治療法の開発につながる可能性が期待されると考えられた。
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