研究概要 |
坐骨神経損傷後7日でcyclin-dependent kinase inhibitor p21は後根神経節で有意に発現上昇する。そこでp21が神経再生に関与すると考えp21 knockout mice(KO)を用いて末梢神経再生に関与するかを調べた。 P21 KO、wild type mice(WT)各々のマウス坐骨神経損傷遠位部に対し術後7,14,28日目に神経トレーサーを逆行性に投与し、脊髄にある神経細胞体を染色。それらの細胞数をカウントした。7,14日目においては両者間に統計学的有意差を認めなかったが、28日目においてWT群で有意に多くの染色細胞を認めた。また、損傷後7日目に損傷部位より遠位部の神経を採取、GAP43及びSMI-32にて免疫染色し、損傷部を越えて軸索再生した神経軸索の数をカウントした。これらのデータに関しては現在評価中である。また現在、損傷遠位部の神経をトルイジンブルーで染色し、神経軸索の数、単位面積あたりの神経軸索数、神経軸索の占める面積率、軸索の幅を測定、評価している。 術後7,11,14,21,28日目に足跡分析により損傷坐骨神経の回復を評価した。21,28日目それぞれにおいて、KO群で有意に坐骨神経機能回復の遅延を認めた。また、術後14,28日目に神経損傷部位より遠位を電気刺激し前脛骨筋における筋電図(振幅)、及び神経伝導速度を測定した。振幅の値は、14日目で両群で有意差は認めなかったが、28日目ではKO群で有意に大きな値を示した。これに対し神経伝導速度(健側との比較)では、KO群にで有意に回復の遅延を認めた。 知覚回復の評価として、神経損傷側の後ろ足、第3,4,5趾のtoe pinch reflexの回復を術後より随時観察、陽性となった日数を記録し評価した。第3,4,5趾それぞれにおいて若干KO群で回復の遅れを認めたが、有意差は認めなかった。
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