研究課題
基盤研究(C)
広範囲熱傷、大規模組織損傷などでは自分の組織、細胞のみでは創の被覆が不可能である。そのような場合は緊急性に対処する必要があり、増殖性に冨み分化能にも優れたヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)と刺激因子としての塩基性線維芽細胞増殖因子(basic Fibroblast Growth Factor, bFGF)に注目した。hMSCは通常"間葉系"幹細胞として、骨・軟骨・腱・脂肪・筋肉などへの分化のみならず、神経系への代償・補填作用や、肝臓・血管内皮など、外胚葉、内胚葉への分化系列を越えた分化の事実がある。今回の人工皮膚代用(ブタ腱由来コラーゲン、ペルナック【○!R】)、hMSC、bFGFの使用により、生体において(1)欠損創を被覆可能であるのか?(2)再生した組織は何を由来としているのか?検討した。1.5×1.5cm^2のヌードラット背部肉様膜を含めた全層欠損に人工真皮代用を用い、5×10^5hMSCにbFGF添加によって術後7日までに創は対照群と比較して有意に閉鎖した。細胞起源と分化程度を調査する目的でヒト固有蛋白のみに交差発現する上皮マーカーを用いて、免疫組織学的、ウェスタンブロットによる発現で発現上昇を認めた。更に、hMSCと創傷治癒に関与すると考えられる(1)ヒト表皮角化細胞(2)ヒト真皮線維芽細胞(3)ヒト血管内皮細胞などでin vitroの隔壁共培養モデル検討では、hMSCはヒト表皮角化細胞との間で最も高度な細胞走化遊走性を示した。また臨床例では、壊死性筋膜炎など高度の局所感染創のデブリードマンの後に人工真皮代用は一時被覆として有用であり、熱傷創においてはbFGF投与により、瘢痕が硬度の改善がわかり、小児の瘢痕では角質水分量の改善を認めた。今後の臨床における創傷治癒へのアプローチとして非常に有望であると思われた。一方、hMSCのシステニイルロイコトルエン受容体拮抗により線維芽細胞様形態変化と細胞外マトリクス産生をみており、今後の線維過剰性瘢痕への機序が示唆された。
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