骨延長器を用いた骨延長法(distraction osteogenesis)は、近年頭蓋縫合早期癒合症(craniosynostosis)などの頭蓋骨形態異常の治療に用いられるようになった。現在臨床で行っている骨延長法ではチタン製の延長器を用いており、延長終了時に延長器を抜去する手術が必要であり患者の負担が大きい。そこでわれわれは抜去手術が不要な生体吸収性の材料で延長器を試作した。現在家兎頭蓋骨を用いた実験を行っている。 昨年度は、生体吸収性のポリ乳酸を材料とする延長器を試作して予備実験を行なったが、本年度はその結果をふまえ、器具の厚みを増した改良型を作成し、現在埋め込み延長実験を行っているところである。現時点では頭蓋骨の延長が問題なく行なえることを示すことができ、臨床応用に向けての第一歩を踏み出すことができたと考える。今後さらに長期モデルを作成し吸収プレートの変化、骨延長部の骨新生の経過および周囲の組織反応などを観察する予定である。
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