研究概要 |
千葉大学医学部附属病院 救急部・集中治療部に入院した患者からインフォームドコンセントを得た上で,現在までにSIRS症例25例から末梢静脈血または動脈血約20mLを経日的に採取し,これよりmRNAを抽出した.ABI PRISM 7000 sequence detection systemならびにTaqman RT-PCRキットを用いたリアルタイムRT-PCRによって,IL-1β,IL-6,TNF-α,IFN-γ(interferon-γ)などSIRSにおいて重要な役割を果たすことがすでに明らかな炎症性サイトカインと,IL-10などの抗炎症性サイトカインの発現レベルを解析した.また,サイトカインのみでなく,HMGB-1(high morbidity group box- 1),MIF(macrophage migration inhibitory factor)のような全身性の炎症反応に関わる他のmediatorや,その伝達物質の遺伝子発現についても現在解析中である. SIRS症例におけるその原疾患,重症度や血清サイトカイン濃度の経時的変化,予後などの臨床データを収集し,白血球中の各種遺伝子の発現レベルとの相関について解析し,健常者と比較した.血中サイトカイン濃度は,ELISA(enzyme- linked immunosorbent assay)にて測走ICU入室時の患者重症度を細胞障害度指数(cellular injury score)およびAPACHE II(acute physiology and health evaluation II) score, SOFA(sequential organ failure assessment) scoreにて評価した. さらに,われわれがこれまでに行ってきた遺伝子多型解析の結果と合わせて,侵襲後の炎症反応の程凌と遺伝子多型の関連についても検討中である.
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