研究課題/領域番号 |
16591810
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内場 光浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90315292)
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研究分担者 |
岡嶋 研二 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (60152295)
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キーワード | 性差 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 知覚神経 / プロスタサイクリン / 胃粘膜傷害発症 / 活性化白血球 / 水浸拘束ストレス / 卵巣摘出 |
研究概要 |
水浸拘束ストレスによるラット胃粘膜傷害発症に性差が存在するかどうかを検討した。水浸拘束ストレスをラットに8時間負荷し、その時に形成される胃粘膜病変の程度を検討したところ、雌ラットに形成される胃粘膜病変は雄ラットに形成される胃粘膜病変より軽度であった。この変化がエストロゲンにより惹起されている可能性を検討するために、雌の卵巣摘出を行い、一ヶ月後に水浸拘束ストレスによる胃粘膜病変形成について検討したところ、卵巣摘出ラットでは雄と同程度の胃粘膜病変が形成された。さらに卵巣摘出後エストロゲンを補充すると、胃粘膜病変の程度は卵巣非摘出の雌と同程度であった。胃粘膜への好中球浸潤の指標であるMPOは水浸拘束ストレスによって上昇するが、この上昇は雄が雌より高値をしめし、卵巣摘出ラットでは雄と同程度の、また卵巣摘出+エストロゲン補充ラットでは雌と同程度の上昇をそれぞれ示した。さらに胃粘膜中のプロスタサイクリンの代謝産物である6-keto-PGF1αの値は、雄では雌に比べ優位に低値で卵巣摘出ラットでは雄と同程度の、また卵巣摘出+エストロゲン補充ラットでは雌と同程度の上昇をそれぞれ示した。知覚神経から放出されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の値も雄では雌に比べ優位に低値で卵巣摘出ラットでは雄と同程度の、また卵巣摘出+エストロゲン補充ラットでは雌と同程度の上昇をそれぞれ示した。これらの結果から雄と雌との間ではエストロゲンによって知覚神経の活性化の程度が異なり、CGRPの放出の程度に性差が認められ、これが炎症反応を制御するプロスタサイクリンの産生の差につながり、ストレス性の胃粘膜障害発生の差となることが推察された。
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