研究課題/領域番号 |
16591813
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (50234539)
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研究分担者 |
中村 京太 横浜市立大学, 大学病院, 助手 (00287731)
舘田 一博 東邦大学, 医学部, 講師 (20236558)
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キーワード | レジオネラ肺炎 / VILI / 高濃度酸素 / 肺感染症 / 肺損傷 |
研究概要 |
対数増殖期のL.pneumophila(血清型1)を分光光度計で3X10^5CFU/mlに調整し、週齢10(330.350g)の雄性SDラットに麻酔下に気管切開をおきレジオネラ浮遊液300μlを経気道的に投与した。感染36時間後に再びpentobarbital麻酔下に気管切開し人工呼吸管理を開始した。頚動脈に24ゲージ針を留置し、動脈血圧の連続的モニターおよび血液検体の反復採取を行った。(i)高酸素分圧群:吸入酸素濃度(F_IO_2)を100%に固定する群と(ii)低酸素分圧群:PaO_2の目標を70torrに設定し、血液ガス分析の結果をもとにF_IO_2を調節する群とで比較した。6時間の観察期間中、血圧・脈拍等の循環動態には両群で差を認めなかった。気道内圧、肺コンプライアンス、等の生理学的数値を測定する。肺の湿/乾重量比(W/D)は両群とも3前後であった。病理組織像は、肺胞出血、鬱血、肺胞破壊像、細胞浸潤を伴う炎症像等を認めた。盲検的に病理医によりこれらの組織像を比較したが群間に差は認められなかった。ラジオアイソトープでラベルしたアルブミンを気道内に投与して、6時間にわたり血中移行を調べたところ、7.7±5.2と6.9±9.5であり有意な差を認めなかった。酸素化の指標としてA-aDO_2は低酸素分圧群で変化がなかったが、高酸素分圧群で6時間後に有意な増加をきたした。ただし、レジオネラを感染させていない対照群でも同様に高酸素分圧群でA-aDO_2の低下を認めたため、この変化は高濃度酸素吸入に起因する部分が大きいことが示唆された。以上より、本研究では人工換気を行うという実験的制約から、観察期間が短くなり、outcomeに群間での差が出にくいという問題が残った。これらの結果を踏まえ、今後、ラットをfree movingで飼育して長期観察を可能にするプロトコルをたて、実験を継続する。
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