研究概要 |
雄Sprague-Dawley(SD)ratの脳梗塞モデル(小泉法にて)を作成し、脳梗塞後Day7,14,21,28に抹消血を採取して単核球を分離後した。血管内皮前駆細胞と目されるCD34(+)/CD133(+)細胞の数をFACS scanで調べたところ14日後に平均50細胞/(1ml当たりの単核球数)で約2倍に増加し、ピーク値を迎えた。また14日のピーク値は7、21、28日と比べ有意に高値であった。Control ratおよびsham operation ratではこのような増加は認めなかった。さらに分離単核球を4日間の血管内皮分化条件の培養後BS-1 lectinとDiI-Acetyl-LDL取り込みを指標に分化した血管内皮の数をカウントした結果、BS-1 lectin(+)DiI-Acetyl-LDL(+)細胞数は脳梗塞作成後の抹消血単核球培養で有意に増加し、14日の単核球培養において約3倍に増加しピークを迎え、その値は全接着細胞数の4%であった。また培養細胞よりRNAを抽出しRT-PCRでBS-1 lectinの発現を調べたところ、培養Day0ではBS-1 lectinは検出できなかったが、Day4には明らかにBS-1 lectinが検出できた。従来の血管内皮前駆細胞が脳虚血後の血管新生に直接寄与しているとの知見に加え、我々の結果は脳虚血が誘因となり生理的反応として抹消血内に血管内皮前駆細胞を動因し、血管内皮前駆細胞が脳虚血後の病態を修飾している可能性を強く示唆するものである。
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