研究課題/領域番号 |
16591820
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小河原 克訓 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20372360)
|
研究分担者 |
小野 可苗 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60344983)
武川 寛樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80173558)
鵜澤 一弘 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30302558)
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50236775)
|
キーワード | Ca結合タンパク遺伝子 / 口腔癌 / マイクロアレイ / 遺伝子発現解析 / 発癌予測 |
研究概要 |
口腔癌、前癌病変、正常組織に関して独自に開発したcDNAチップを用い、さらに、Affymetrix社製GeneChipもデーター併用して、癌、前癌病変、正常組織におけるCa結合タンパク遺伝子群の各種遺伝子の発現状態を網羅的に明らかにした。 その結果、27種類の遺伝子が癌病変で発現の大幅増加、83遺伝子が大幅な発現減弱していた。マイクロアレイの結果を基に、口腔癌由来細胞株9種類、臨床検体50例以上(各遺伝子により異なる)について、real time PCRにより定量的に各遺伝子発現を確認した。確認した特異的発現遺伝子のうち、特に重要と思われるものを挙げると、小胞体カルシウムポンプとしてはATP2a遺伝子群の発現増強、細胞膜上カルシウムポンプとしてはATP2B遺伝子群の発現減弱、小胞体内カルシウム維持タンパクとしてはcalsequestrin 1遺伝子の発現減弱、S100遺伝子群の発現減弱などが明らかになった。さらに、小胞体内に存在する特異なカルシウム結合タンパクとして、TRA1遺伝子が発現増強していた。本遺伝子はHSP90 familyに属し、小胞体シャペロンタンパクであり、小胞体内幼弱タンパクの立体構造に関与(折りたたみ)している。 これらの結果を総合すると、癌化することにより細胞内でのスイッチングが抑制・遅延されることが推測された。また、この程度に応じたCaイオンの動向により、発癌傾向の判定(発癌予測)に応用できる可能性が示唆された。
|