研究課題/領域番号 |
16591825
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 篤 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90201855)
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研究分担者 |
森谷 正之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80303981)
小野 高裕 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (30204241)
竹村 元秀 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70192169)
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キーワード | 嚥下 / 顔面神経 / 三叉神経 / 顎運動 / 脳幹反射 / 大脳皮質 / 運動野 / ラット |
研究概要 |
嚥下運動は、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、舌下神経の各運動ニューロンが一定の順に規律され活動することで遂行される。この規律には、脳幹の運動前ニューロンが関与していることが考えられるが、どの様な神経機構で、嚥下の開始に重要な顔面神経運動ニューロン(特に顎二腹筋後腹運動ニューロン、茎突舌骨筋運動ニューロン)を含むこれらの運動ニューロンを支配しているのかは不明である。そこで、本年度は、これらの運動前ニューロンの神経機構を解明する目的で、運動前ニューロンの同定および運動命令の発現に関与する大脳皮質の運動野との関連を検索し、以下の結果を得た。 ラットにおいて逆行性トレーサーを用いて検索した所、運動核に投射するニューロンは、三叉神経吻側核、上域、間域、顎二腹筋後腹運動ニューロン、茎突舌骨筋運動ニューロンの存在する橋網様体外側部に加え、嚥下のリズムゼネレーターが存在すると考えられている孤束核の腹側の網様体、および大脳皮質運動野にも認められた。一方、大脳皮質運動野の投射部位を順行性トレーサーを用いて検索した所、三叉神経上域、間域、橋網様体外側部、孤束核の腹側の網様体に加え、疑核周囲の網様体に投射することが示された。 以上の結果から、嚥下運動を発現させる三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経を支配する脳幹の運動前ニューロンはいずれも、大脳皮質からの直接支配を受けている事が示された。また、これらの結果より、嚥下運動の神経機構の解明には、運動前ニューロンの種類によって大脳皮質との神経連絡がどのように異なるのか、また、大脳皮質の運動領野間の神経連絡について、更に検討する必要が有ることが明らかになった。
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