研究概要 |
エストロゲンならびに内分泌撹乱物質によるEBウイルス再活性化の可能性を検討するために、活性化に必須因子であるBZLF1遺伝子のプロモータアッセイ、ならびに遺伝子産物のZEBRA蛋白の発現を指標に解析した。エストラジオールはB95-8及びAkata細胞において誘導されるZEBRA発現を抑制した。また、Zp221-LucおよびZp552-Lucプラスミドをstableに遺伝子導入したB95-8細胞株を用いた結果、エストロゲンはTPAによるプロモーター活性の増強を抑制した。このエストロゲンによる抑制作用について、HSY, HSGおよびHela細胞においてZEBRAの遺伝子導入もしくは、TPA刺激によるZp活性でも確認できた。さらに、これらのエストロゲンの作用発現に要する時間が30分と短い事から、その作用の一部はERの膜型受容体もしくはGPR30などの受容体を介したnon genomicな反応である可能性が考えられ、現在その作用機序の確認の検討を行っている。また、Akata細胞やB95-8細胞に各種の環境ホルモンBPA,3-MC, B[a]P, TCDDを作用させたが、いずれの場合も活性化は認められなかった。一方、HelaやHSY、HSG細胞について、3-MC、TCDDによりZpの活性増強が認められた。AhR/Arntと同時にERを共発現させるとHelaでは活性抑制が、HSYおよびHSGでは活性増強の傾向が認められたことから、ERは細胞種により環境ホルモン類のZp活性を負あるいは正に制御している可能性が考えられた。さらにHSY細胞でZEBRAをAhR/Amtと共発現させると、その活性は増強されたことから、環境ホルモン類は活性化の過程を促進させる可能性が考えられた。現在ZEBRA蛋白とAhRの相互作用を、免疫沈降法、Gelシフトアッセイ、GSTプルダウン法を用いて検討を行っている。
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