研究概要 |
本研究は3年間で完成させることを目標に開始された。平成18年度の研究経過ならびに成果は以下のとおり。 1)Candida albicans菌体を塩酸・酢酸存在下で加熱処理したのち、上澄みを分子量10,000の限外ろ過を行い、低分子画分を得た。 2)得られた低分子画分をSepabeads SP207に吸着させたのち、各種溶媒を用いて溶出パターンを調べた。 3)この結果、試験材料中には50%メタノールで溶出されるフラクションと、100%アセトンで溶出されるフラクションが存在することがわかった。前者はやや親水性で、後者は疎水性を示す物質であることが予想された。 4)メタノールフラクションをSephadexLH-20に吸着させたのち、メタノールあるいはアセトンを用いて溶出させ、活性を示す画分を集めた。 5)SephadexLH-20で分画された活性部分をMightysil RP-18 GP Aqua(関東化学製)を用いて、HPLCにより活性画分を分取した。 6)この時点で菌体からの活性物質の抽出、分離、精製は終了とみなし、活性を示す物質の構造および化学組成に関する詳細な分析を開始した。また、精製された物質はラット神経培養細胞の神経突起を著明に伸長させる性質を有していることを確認した。 7)マススペクトル解析および同位元素を用いての各種NMR分析、糖分析などを実施して化学組成ならびに構造解析を行った。この結果、Candida albicansから得られた物質は新たなNADのアナログ(β-L-NAD)であることが示唆される成績が得られた。 8)分析結果に基づいた化学合成の方法を検討した結果、4つのステップを経て目的物を得ることとし、合成を開始した。(現在、第2ステップが進行中である。)
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