研究概要 |
先の研究において、われわれは、骨芽細胞MG63に1型CGRP受容体とともに古典的な1型CGRP受容体の定義当てはまらない細胞応答性についても確認した。本研究は、この所見をさらに実証し、その生理学的意味について考察することを目的としている。 1)標識リガンドによる受容体の検出 生理活性を有しているrhodamine標識リガンドを用いて受容体との結合および架橋化の後、蛍光顕微鏡、電気泳動により、受容体蛋白の検出を試みたが、特異的結合をとらえることはできなかった。 2)CGRPの細胞内カルシウム動態と細胞膜電位に及ぼす影響の検討 細胞内カルシウム動態([Ca^<2+>]i)と細胞膜電位(Em)について検討した。MG63において、一過性上昇とそれに続くゆるやかな持続的上昇の二相からなる[Ca^<2+>]iの上昇は認められた。Emについては、過分極反応を示した。これらの反応の一部は、CGRP_<8-37>によって50%程度しか抑制されないことから、1型受容体サブタイプと非1型受容体サブタイプの両方が関与していることを示唆している。 3)CGRP受容体を介する細胞反応のSchild plotによる解析 受容体のCGRP_<8-37>に対する感受性を指標として薬理学的解析を進めた。その結果、cAMR,p38-MAPK,およびCREBのリン酸化は同じ受容体サブタイプ(恐らく1型と思われる)によってシグナル伝達が仲介されていることが示唆されたのに対して、ERKの脱リン酸化はまったくの異なる受容体サブタイプ単独か、あるいは1型と非1型受容体サブタイプの複数によって仲介されている可能性が示唆された。 4)CGRPが細胞の蛋白発現パターンに及ぼす影響の解析 CGRP処理後のMG63を可溶化し、二次元電気泳動により蛋白を分画化し、その結果は解析ソフトを用いて解析作業を実行しているところである。
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