研究課題/領域番号 |
16591863
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
客本 斉子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90118274)
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研究分担者 |
加茂 政晴 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40214564)
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80326694)
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キーワード | HSP90 / ゲルダナマイシン / Fas / アポトーシス / FLIP / カスパーゼ |
研究概要 |
昨年度までに、ヒト顎下腺由来腺癌細胞株(HSG)の抗Fas抗体誘導アポトーシスへの熱ショックタンパク質90(HSP90)の関与の有無をHSP90の特異的阻害剤であるゲルダナマイシン(GDM)を用いて検討し、HSP90がFas誘導アポトーシスシグナル伝達系に対し、anti-apoptoticに関与していることを見い出した。また、Fasシグナル系におけるHSP90のターゲットタンパク質としてCaspase8のドミナントネガティブ作用を有するFADD-like ICE inhibitory protein(FLIP)の関与が示唆された。そこで、本年は、FLIPとHSP90の相互作用を詳細に検討するとともに、GDMがFLIPの発現に及ぼす影響を調べた。 《方法、結果と考察》FLIPとHSP90との相互作用を免疫沈降-ウエスタンブロット(WB)法により検討した。HSG細胞より細胞可溶性画分を調製し、HSP90抗体による免疫沈降物を得、これを電気泳動後、FLIPに対する抗体でWBを行ったところ約56kDaの位置に特異的なFLIPのバンドを得た。また逆に、細胞可溶化物をFLIP抗体により免疫沈降し、電気泳動後にHSP90抗体でWBしたところ90kDaのHSP90の特異的バンドが得られた。これらの結果から、FLIPはHSP90と特異的に結合していることが明らかになった。つぎに、HSP90がFLIPの発現に対し影響を及ぼすか否かをRT-PCR法により検討した。GDM処理後6hのHSG細胞より全RNAを調製し、FLIPのmRNAレベルをRT-PCRにより調べたところ、非処理細胞に較べGDM処理で顕著に減少した。この結果から、HSP90はFLIPに結合することによりFLIPの安定化に寄与する事でFas誘導アポトーシスに対して、and-apoptoticに作用することが推測された。 《結論》HSP90はそのシャペロン効果によりFLIPを安定化することでFLIPのカスパーゼ8のドミナントネガティブ作用を介しFas誘導アポトーシスを負に制御していることが示唆された。
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