研究課題/領域番号 |
16591870
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
小松 浩一郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (60153665)
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研究分担者 |
柴田 達也 鶴見大学, 歯学部, 助手 (90323708)
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00339813)
大井田 新一郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (10114745)
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キーワード | 歯の再植 / 創傷治癒 / 骨性癒着 / 歯根吸収 / 歯根膜の支持機能 / PDGF |
研究概要 |
1.目的 歯の再植における問題の一つは歯根の骨性癒着である。癒着により、咬合力が歯根膜に加わらず、組織の修復と支持線維の機能的な配列の回復が妨げられる可能性、また歯根の吸収、さらに歯の消失の可能性がある。従って、再植歯の骨性癒着を防止することは重要なことである。本年度我々は骨性癒着を抑制するために、骨芽細胞に作用せず歯根膜細胞に対する強い増殖、遊走作用をもつPDGFのラット再植歯モデルに対する効果を調べた。 2.組織学的観察 麻酔下で抜去した上顎第一臼歯をPBS(生食群),アテロコラーゲン含有PBS(溶媒群)、あるいはPDGF-BB5μg/50μl溶媒(PDGF群)に浸漬後、再植した。もう1群は再植を行わなかった(正常群)。21日後に組織学的観察を行った:生食群及び溶媒群では再植歯歯根に骨性癒着が広範囲に認められたが、PDGF群では殆ど歯根に骨性癒着が認められず、歯根膜は良く修復しており、厚さが正常群と比べ厚い傾向であった。偏光顕微鏡下で歯根膜に多くの斜走コラーゲン線維が観察された。しかし、逆に再植歯歯根表面の吸収が多い傾向であった。 3.再植歯歯根膜の支持機能回復の経時的解析 2と同様に再植後、7日、14日、及び21日に摘出した上顎の再植歯を材料試験機によって引抜くことにより歯根膜の機械的強度を測定した。生食群及び溶媒群は14日及び21日で多くの個体で歯根に癒着が起こったため引抜き試験時に破折が生じた。PDGF群では、21日で少数例の破折が生じた。PDGF群の歯根膜機械的強度は21日目まで徐々に増加し、7、14及び21日目に正常群の30、55および53%まで回復した。 4.結論 ラット再植歯モデルにおいてPDGFの局所適用は歯根の骨性癒着を効果的に抑制した。この結果、咬合圧が歯根膜に加わり、組織の修復、支持線維の機能的な配列の回復、そして歯根膜機械的強度の回復を導いた可能性が考えられた。局所適用後のPDGFの動態、PDGFの骨性癒着のしくみが不明である。
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