研究課題/領域番号 |
16591878
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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研究分担者 |
自見 英治郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (40276598)
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キーワード | 破骨細胞 / ruffled border / Cl^-輸送 / K^+ / Cl^-共輸送体 / ClC7 / 吸収状態 / 細胞内Cl^-濃度 / 細胞内pH |
研究概要 |
平成16年度の結果より、吸収状態の破骨細胞では外向き整流性Cl^-電流が活性化されており、これらCl^-輸送体が破骨細胞のCl^-輸送や細胞内pH変化を調節していることが示唆された。平成17年度は、吸収状態で活性化されるCl^-輸送体の分子種を絞り込むと共に、破骨細胞内での局在の確認やH^+放出活性を含む骨吸収機能との関わりも含め検討した。まず、RT-PCR法を用いて、マウスの骨髄細胞から誘導した破骨細胞に発現するCl^-輸送体の分子種の検索を行った。その結果、電位依存性Cl^-チャネルの一種であるClC3やClC7といった外向き整流特性を示すCl^-チャネルや、K^+/Cl^-共輸送体の一つであるKCC1が発現していることが分かった。また、ClC7とKCC1の蛋白は膜画分に存在することや、抗体染色により破骨細胞のruffled border部位での存在が確認されたことより、これらはruffled borderで働くCl^-輸送体であると考えられた。一方、ClC3は細胞内オルガネラでの局在が示唆された。次に、Cl^-やpH感受性色素を用いて、破骨細胞の細胞内Cl^-濃度やpH変化を測定した。KCC抑制剤やCl^-チャネルブロッカーは細胞内Cl^-濃度を上昇させると共に、細胞内pHを上昇させた。従って、これらのCl^-輸送体を介した細胞外へのCl^-放出の抑制は、破骨細胞のH^+放出活性を低下させると考えられた。また、破骨細胞を象牙切片上に培養し、形成される吸収窩面積を測定し、骨吸収活性を評価した。KCC抑制剤やCl^-チャネルブロッカーは共に、破骨細胞の吸収窩形成能を抑制した。さらに、KCC1とClC7のアンチセンスオリゴやsiRNAを処理すると、破骨細胞の吸収窩形成能は優位に抑制された。以上のことより、KCC1はClC7と同様に破骨細胞のruffled borderに発現し、吸収窩へのCl^-輸送を担うと共に、H^+放出と連動し骨吸収機能に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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