研究概要 |
歯原性上皮の腫瘍化におけるアポトーシスとそのシグナル伝達機構の異常を解明するため、歯原性上皮に由来する代表的な腫瘍であるエナメル上皮腫及び悪性エナメル上皮腫におけるアポトーシスシグナルの抑制に関わるサバイビン及びXIAPについて検索した。 1.免疫組織化学による検討 検索した組織(歯胚11,エナメル上皮腫46,悪性エナメル上皮腫6)において、サバイビン及びXIAPの免疫組織化学的発現が確認された。サバイビンの発現は主として基底膜近傍の歯原性上皮性細胞で高く、XIAPの発現は角化部や顆粒細胞を除くほぼすべての歯原性上皮性細胞で認められた。これらの所見より、サバイビン及びXIAPは正常および腫瘍性の歯原性上皮においてアポトーシスシグナルを抑制することにより、細胞の生存や増殖に関与することが示唆された。 2.半定量的RT-PCRによる検討 検索した組織(歯胚8,エナメル上皮腫32,悪性エナメル上皮腫1)において、サバイビン及びXIAPのmRM発現が確認された。サバイビンの発現は歯胚に比べエナメル上皮腫で高い傾向を示し、XIAPの発現は叢状型エナメル上皮腫に比べ濾胞型エナメル上皮腫で有意に高かった。これらの所見より、サバイビン及びXIAPの発現は歯原性上皮の腫瘍化や分化に関与することが示唆された。
|