研究概要 |
要介護状態を予防する介護予防のために,平成16年度には1.運動器の機能向上 2.低栄養予防 3.閉じこもり予防 4.痴呆・うつ予防 5.口腔機能向上 以上の5項目が柱となって展開されるべきことが公に認められた.口腔機能向上が主要項目に採用されるにあたり,軽度痴呆性老人に対して口腔機能向上プログラムを実施し,介護度の維持,改善,そして悪化の経緯を評価した本研究の結果が根拠となった. 本年度は,軽度痴呆性高齢者に対する口腔機能向上が,介護予防にどの程度貢献できるかの予測因子の抽出作業を行った.口腔機能向上の内容は,歯科医療従事者が行う専門的口腔清掃と口腔機能リハビリテーションである.専門的介入の有無,介入頻度の違いによる効果,判定を行った. 一方では老齢ラットを使用し,痴呆性老人にたびたび出現する口腔疼痛性過敏を想定した基礎研究を実施した.口腔疼痛性過敏は,口腔ケアを施すにあたり,障害となる症状であり,痴呆性老人の口腔ケアが日常生活において不十分になる要因の一つである.口腔機能向上を施すにあたり,痴呆性老人の口腔顔面領域における過敏および疼痛を解明すべく口腔疼痛性モデルラットによる実験系の確立を行った. 平成17年度以降は,介護予防の柱である5項目のうち,痴呆・うつ予防と口腔機能向上の関連を追求する.さらには,口腔機能向上に関する具体的なマニュアル作成を目的に,ガイドラインの作成を行う.基礎研究としては,口腔顔面疼痛の発現機序の解明を目的に,モデルラットの作成を行う.
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