研究課題
基盤研究(C)
4NQO誘発舌がん発生において、Dark-Agouti系(DA)ラットは舌がん発生に高感受性を示し、一方Wistar/Furth系(WF)ラットは低感受性である。さらに、これら両系統のラットを用いて舌がん発生に関連する5つのQTL(tongue squamous cell carcinoma1〜5:Tscc1〜5)が見出だされている。今回DAラットのTscc1領域とTscc4領域をWFラットに別々に導入した2系統のコンジェニックラットを作成した。これら2系統のラットに4NQO投与による発がん実験を行った結果、基準のWFおよびDAラットに比較して有意な発がん頻度差を示すことが確認された。さらに、これらの領域にある候補遺伝子のmRNA発現とタンパク質発現を調べる目的でマイクロアレイと抗体アレイ解析を行った。舌発がんが見られたDAラットの舌がん組織と4NQO無投与のDAラットの舌粘膜組織を用いてこれらの発現を比較検討した。その結果、舌がん組織と無投与のDAラットの舌粘膜組織とのシグナル比が大きく異なる遺伝子とほとんど差異の見られない遺伝子など、遺伝子ごとの変動は多様であったが、Tscc1とTscc4領域における候補遺伝子の多くはシグナル比が有意に高かった。以上のように現時点では、Tscc1領域にあるNQO1遺伝子とTscc4領域にあるPthrp遺伝子については、舌発がんへの関連の有無を3方向から(コンジェニックラット、抗体アレイ、トランスジェニックラット)検討を行っている。前2者の検索結果の範囲から、2つの遺伝子は舌発がんへの感受性に高い関連性を有することが認められたと考えている。今後トランスジェニックラットによる検索を含めた研究解析を行うことで、同様の結果が得られるのではないかと期待しております。
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