研究分担者 |
森本 泰宏 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (00275447)
上山 吉哉 山口大学, 医学部, 教授 (00168668)
羽地 達次 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50156379)
森本 景之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (30335806)
|
研究概要 |
タンパク質脱リン酸化酵素1型(PP1)のδアイソフォーム(PP1δ)はヒトおよびマウスの骨芽細胞核に5-7個のドット様構造物として,核小体に強力に発現した.この存在様式はリボゾームRNA合成の場と考えられ,悪性腫瘍細胞に高度に発現し,硝酸銀により染色されるArgyrophilic Nucleolar Organizer Regions(AgNORs)とその構成タンパクであるニュークレオリン(C23)及びニュークレオファスミン(B23)の細胞内局在と完全に一致した.蛋白質脱リン酸化酵素阻害剤オカダ酸とカリクリンAはヒト及びマウスの骨芽細胞にアポトーシスを誘導した.正常細胞において核小体と推定されるドット状に染色されるニュークレオリンとニュークレオファスミンは,アポトーシス細胞では核全体に拡散した。正常細胞から調製したタンパク質をSDS-polyacrylamide gel electrophoresisで分離し,ウエスタンブロット法で分析すると,110kDaのニュークレオリンが検出されるが,アポトーシス細胞から調製したタンパク質では110kDaのタンパク量が減少し,新たに80kDaのタンパクが出現し,その量が増加した.つまり,アポトーシスによりニュークレオリンは分解されて80kDaの断片になる.抗癌剤で処理した細胞でもニュークレオリンは分解されて80kDaの断片になる.ところが,ニュークレオファスミンは正常細胞では38kDaの蛋白として検出されるが,アポトーシス細胞においても同様に検出される.以上の結果は,ニュークレオリンのリン酸化状態とアポトーシス誘導が密接な関係にあり,その関係をPP1δが調節することを示唆している.PP1δをRNAiすると他のPP1の発現は抑制を受けなかったが,PP1δの発現は著しく抑制された。
|