研究課題/領域番号 |
16591903
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 佐織 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (90344522)
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研究分担者 |
菅谷 勉 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (10211301)
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キーワード | 4META / MMA-TBBレジン / root-end sealant / 接着治療 / 封鎖性 / 生体親和性 |
研究概要 |
歯根端切除術や再植術の際に根尖切除面を接着性レジンで全面封鎖するroot-end sealantや、垂直破折歯根の接着治療法に4-META/MMA-TBBレジンを使用している。これは空気や水があっても重合するという、他のレジンとは大きく異なる特徴を有しているためである。しかし、このレジンには吸水性があり、長期間経過すると接着力や生体親和性が低下する可能性がある。そこで生体内部でどの様に変化するかを明らかにするために実験を行った。 1.理工学的性質及び生体親和性 レジン試験片を作製し、37度大気中、生理的食塩水中、およびウマ血清中に1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、1年間保存した場合の接着力と試料の固さ、生体親和性を検討した。 生食中での接着強さは初期には低下したが、3ヶ月目からは安定していた。生体親和性は、保存方法や期間により大きな差は認められなかった。 2.生体内で使用した4-META/MMA-TBBレジンの封鎖性と生体親和性の変化 2頭の雄ビーグル犬の下顎前臼歯に根尖病巣作製、根尖切除を行い、根管を汚染したまま4-META/MMA-TBBレジンでroot-end sealing、強化型ユージノール、Mineral Trioxide Aggregate (MTA)で逆根管充填した。3ヵ月後にX-p撮影、通法に従い、脱灰標本を作製、H-E重染色後に根尖周囲組織の変化を病理組織学的に検討した。4META/MMA-TBBレジン:炎症性細胞浸潤はなく根尖部の骨の改善が認められ、レジン表面は結合組織で被包されていた。MTA:骨の改善が認められ、根尖切除面では新生セメント質で被覆されていた標本も観察された。強化型ユージノールセメント:骨の改善はなく強い炎症が観察された。以上より管が汚染されたまま歯根端切除を行い、4-META/MMA-TBBレジンでroot-end sealingを行った場合に、根管の封鎖性は長期間維持され良好な治癒が得られた。
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