光重合型コンポジットレジンは、重合が急激に進むため、窩壁適合性が化学重合型レジンに比べ劣るという欠点を有している。重合収縮応力を起こす主な原因の1つとして、C-factorが大きくなるとレジン修復物の窩壁適合性が低下する。また、フロアブルレジンは、フィラー含有率が低いことにより重合収縮量が大きい、一方、収縮応力が小さい。そこで、フィラーを含有するものとフィラーを含有しないボンディングレジンならびにフロアブルレジンとハイブリッドレジンを用いて、異なるC-factorを有する修復物の辺縁封鎖性と窩壁適合性に与える影響につて評価検討した。 牛切歯の唇側象牙質面に、直径3mm、深さ1mm(C-factor=2.3)と直径2mm、深さ1mm(C-factor=3)の円柱状の窩洞を形成した。この窩洞にClearfil SE BondかSingle Bondのボンディングを使用し、ハイブリッドレジンのPhoto Clearfil BrightかZ100、フロアブルレジンのFiltek FlowかPalfique Estelite LVを填塞した。光照射を行い重合硬化させた後、サーマルストレスを500回与えた。レジン修復物の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性を色素浸透試験により評価し、これらの結果について統計処理を行った。 コンポジットレジン修復物の辺縁封鎖性と窩壁適合性は、接着材とコンポジットレジンの違いにより影響を受けることが明かとなった。フロアブルレジンにClearfil SE Bondを使用した群は、Single Bondを使用した群と比べ有意に辺縁封鎖性と窩壁適合性を向上させた。C-factorが大きくなると、フィラーを含有するClearfil SE Bondの様なボンディングを用いた方が、Single Bondの様にフィラーを含有しないボンディングシステムより辺縁封鎖性と窩壁適合性を向上させることが判明した。
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