研究概要 |
本研究では,アスパラギン酸を骨格とするアクリレート(N-AAsp)含有溶液のセルフエッチングプライマーアドヒーシブとしての応用性を調べた。N-AAspはアクリル酸クロリドとDL-アスパラギン酸から合成し,^1H-NMRおよび^<13>C-NMR分析して生成物がN-AAspであることを確認して使用した。セルフエッチングプライマーアドヒーシブとしてN-AAspを溶解する溶媒はアセトンと水の混合溶液とし,添加する重合性モノマーとしてTEGDMA、重合開始剤・触媒としてカンファーキノン(CQ)およびN,N-ジメチル」p-トルイジンを選択して,様々な濃度で牛歯への引張り接着強さを検討した。その結果,N-AAspを10wt%に固定し,TEGDMA0wt%,H_2O 90wt%(アセトン無し),CQ1wt%、N,N-ジメチルp-トルイジン1wt%添加で11.0MPa,TEGDMA1wt%,H_2O 43.5wt%,アセトン43.5wt%,CQ1wt%、N,N-ジメチルp-トルイジン1wt%で11.2MPa,TEGDMA3wt%,H_2O 42.5wt%,アセトン42.5wt%,CQ1wt%、N,N-ジメチルp-トルイジン1wt%で12.3MPa,TEGDMA5wt%,H_2O 41.5wt%,アセトン41.5wt%,CQ1wt%、N,N-ジメチルp-トルイジン1wt%で13.5MPaで最大となった。いずれも樹脂含浸層の形成はあったものの明瞭ではなかった。以上より,N-AAspを含有させたセルフエッチングプライマーアドヒーシブの組成および配合量を決定できた。しかしながら,市販セルフエッチングプライマーアドヒーシブに比べれば未だ接着性能および安定性は低く,アミノ酸骨格モノマーを応用したセルフエッチングプライマーアドヒーシブの開発にはさらなる研究が必要であろう。
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